インタビュー

RYUKYUDISKO 『pleasure』 キューン



  曽我部恵一、SAWA、多和田えみ、iLL & MEG、Dachambo、BLACK BOTTOM BRASSBANDなどなど、RYUKYUDISKOの2年ぶりとなるアルバム『pleasure』は、ほとんどの楽曲でゲスト・ミュージシャンをフィーチャーする意欲作となった。

 これまでも“夢のFUTURE”や“NICE DAY”など優れたヴォーカル・トラックを披露してきた彼らだが、今作ではメロディーから曲を組み上げる歌を軸にした作曲方法を取ることで、改めて卓越したメロディーメイカーとしての才能を見せつけている。奄美出身のシンガー、城南海が歌う“MOTHER”や同郷の多和田えみが参加した“Starlight Waltz”、曽我部恵一のヴォーカルが星のように瞬く“1978”と、冒頭の3曲を聴いただけでも彼らがメロディーの隅々までを巧みにコントロールしていることがおわかりいただけるはずだ。

 そうした視点で楽曲を聴いていると、参加した多くのアーティストは、制御された楽曲のなかでパフォーマンスするというより、むしろ楽曲を壊しては、はみ出すような動きでRYUKYUDISKOの世界の拡張を促しているように感じられるし、2人もそれを積極的に楽しんでいるようだ。その象徴となるのが、2人がコラボを熱望したDachamboとの“RYUKYUDISTO”なのだろう。まさかの〈なんくるないさ!〉のシャウトから、とぐろを巻くギターが縦横無尽に暴れ回る超ハッピーでトランシーなサイケデリック・ハウスは、ユニットにテクノの流儀とは異なる破格のテンションをもたらした野心的なトラックに仕上がった。

 MEGのオートチューンと生っぽいナカコーの声のアンバランスな掛け合いが不思議な存在感を醸し出す“遥”やラストのトランシーな“ハイビスカス”など、沖縄フレーズをあえて前面に出さずとも曲のカラーが立っている点も見逃してはならない。数多の個性豊かなアーティストとのコラボと〈歌〉を入り口に、ユニットの新たな魅力が際立った『pleasure』。それはRYUKYUDISKOが音楽家として新たなフェイズに入ったことを雄弁に物語っている。

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掲載: 2009年09月24日 19:00

文/佐藤 譲