INTERVIEW(3)――どんどん削ぎ落とすことで見えない境地に
どんどん削ぎ落とすことで見えない境地に
――うん。あと、これまでのラヴソングに比べると、すごく具体性があるというか。とはいえ、いろんな人が自分のこととして聴ける詞になってるでしょ?
WATARU.S「うん。これは具体的なことが起きたからだよね。妹と初めて家を出て暮らしはじめて、妄想して書いたから。だから〈1K〉とか、そういうのもさ、ただ想像しただけじゃ書けない何かはあると思う」
SKB「確かに、この1行、すごい引越し感あるね(笑)。〈部屋は南向き、1K〉とか言って(笑)」
WATARU.S「でしょ? でもさ、その1行で思い浮かぶじゃん。ほとんどストーリー見えました、ぐらいの感じがうまくいってますよね」
――うん、ロマンティック。
WATARU.S「曲調はちょっと暗いけどね」
――ああ、ちょっとウェットかな。ギターの音とか。
KENSUKE「曲の感じがちょっとね、そういう感じはありますよ」
――ちょっと90年代ギター・ポップのような雰囲気も。
WATARU.S「きました」
SKB「ああ~、本質を突いてきますね」
――そこを狙ってた?
WATARU.S「狙ってたわけじゃないけど。もう自然にさ、なるんじゃない? 最初はシンセとか入れようと思ったんだけど、もういいよ、と。そういうのは聴きすぎてる。シンプルな8ビートにアコギが乗ってて、っていうのが絶対みんなに響くと思う、っていうのはあるよね」
SKB「うん。最初はPerfumeの“チョコレイト・ディスコ”のイントロがついてたんですけど」
――えっ!
KENSUKE「ダフト・パンクだよ、あれ」
SKB「いや、Perfumeだよ」
WATARU.S「そこはいいよ、つまんねえから(全員笑)!」
SKB「(笑)ちょっとレイヴ系の、ワッショーイっていう感じの、これまで通りのビートで、まあ歌が入ったら静かになる、って感じだったんですけど、それはちょっと、おかしいことになってないか、って。〈AOKIさん、ここは8ビートで〉ってみんなで土下座してお願いしたら、意外と良かったっていうか。曲の新しい側面が見えて、で、シンセとかもプリプロの段階では入れてたんですけど、どんどん削ぎ落としてくことによって、曲がどんどん新しくなってったんですよね。俺らの見えない境地に行って」
――その新しい側面っていうのは、90年代回帰みたいな?
WATARU.S「そこまでじゃないけど……もうね、みんな、音とか詰めすぎ。80年代ってそういう感じだったじゃん。で、剥き出しの90年代が来て、それがグルグル回るからね。ちょっと、いまは静かにいこうよ、みたいなムードは少なからずあるよね」
――よりシンプルな方向に。
WATARU.S「うん。だって、他の曲も全部シンプルだったでしょ? オーヴァー・プロダクションしてない」
――してない。言い方によれば、もうスッカスカみたいな。
SKB「スッカスカ(笑)」
WATARU.S「うん。でも、それは俺の詞曲の精度が上がってるってことですよね」