インタビュー

INTERVIEW(3)――これはもう、完璧だなと

 

これはもう、完璧だなと

 

――そして5曲目“ヘイ! ロボ・ダンシン”。こういうアシッド・ジャズ、ジャズ・ファンク的な曲って、これまでやってこなかったですよね。

Ohyama「もともと俺とマサユ機が出会った頃には、フュージョンとかアシッド・ジャズとか、そういう感じの曲も好きだったので、自分たちがやってたバンドでもそういう曲をやっていたし。PE’Zになってからは、フュージョン、ファンク、アシッド・ジャズみたいなものをごっそり避けていたんですよ。避けていたというか、そこをベースにして歌謡曲みたいなものをどんどん採り入れていったんですけど、『1・2・MAX』で“Woo-ha!”が出来て、〈これはいけるでしょう〉というバンドの流れが生まれ、今回“ヘイ! ロボ・ダンシン”になったということですね」

――これは最高にカッコ良いです。爆音で聴きたいです。

Ohyama「その昔、将来的に音楽をやろうと思っていろいろ聴きまくっていた頃の俺が、好きになりそうな曲だなという気がします。俺がマサユ機を初めて見て、すげぇなと思ったのは、クラヴィネットを弾いてたんですよ。クラヴィネットって、ソウルやファンクによく出てくる音だから。なので意外と、俺とマサユ機の根本にあるサウンドに近いんですよね」

ヒイズミ「70年代の肌触りというか、そういうのは昔から大好きです」

Ohyama「いままでPE’Zといったら、細かい展開が多いことが特徴だとよく言われてきたんですが、そうでもなくなってきていて。“ヘイ! ロボ・ダンシン”では、真ん中あたりでガラッと曲が変わって、また戻ってくるという、その感じがすごく気持ちいい。たぶんこういう曲だと、お客さんのノリも変わると思うんですよ。これからは、もっとこの手のノリを増やしていきたいなと思ってます。途中で完全にトリオのバンドになるわけですよ、ホーン抜きの。そこがすごい新鮮ですね」

――そして“SPLASH音頭”。

Ohyama「これはPE’Zの持っている和の感覚とジャズとを混ぜたものですが、いつもだったらサビでモロ和にいくところが、逆にサビで日本の外に行っちゃうという。“SPLASH音頭”というのが、謎が多いんですけど。いまだに(笑)」

――水しぶき、みたいな意味ですよね。ヒイズミさん、何か深い意味が?

ヒイズミ「曲調がサーフィンとか、そういうものを感じさせたのと、最初のフレーズがお祭りっぽかったので」

Ohyama「夏ですね」

 

PE'Z_A1

 

――そして“ハイウェイスター”……違った、“ハイウエスター”。これ、間違いやすいです(笑)。

Ohyama「そこは引っ掛けで。曲に関してはぶっちぎりな、素直なPE’Zらしい曲ですね。ライヴも意識してるし、盛り上がるといいなと思います。このところ、意外とこの手の曲がなくて、ポップ感溢れる曲ばかりやってきてたから。こういう曲調で始まっても、途中でポップになる展開が多かったんですけど、これは一気に最後まで押し通す」

――“ハイウエスター”って、何ですか。

Ohyama「昔のヤンキーですね。ベルトの位置を上げて、ハイウエスト。そのスターだから、ハイウエスター。剣桃太郎(漫画〈魁!!男塾〉の主人公)っていう感じです。言葉だけですけどね(笑)。ちなみにこれはマサユ機が、数あるデモのなかから、〈これはやったほうがいいんじゃないか〉って言ったんですよ。自分から熱い意思表示をすることは、過去10年間に2~3回しかないんですけど、これは言ってたよね」

ヒイズミ「これはもう、完璧だなと思いまして。やったほうがいいだろうと」

――10年間に2~3回しか言わないというのは、何か理由があるんですか。

ヒイズミ「いや、自分のなかに規制を設けているわけではなく、何かあれば言うつもりではいるんですけど。気がつけば10年で2~3回だったと(笑)」

――そして最後が“灼熱のLAバンピー~愛と平和のSAMBA~”。これは『1・2・MAX』の時にも話題になっていた、得意の〈偽サンバ〉ですか。

Ohyama「やっぱり夏はサンバでしょう。でもサンバをやっているバンドは多いですけど、みんなちゃんとしたカッコ良いサンバなので、俺らは〈偽サンバ道〉を突き進んでいかないと」

――この強力なパーカッションは、ダビングですか。

Ohyama「そうですね。サンバといえば、やっぱりパーカッションでしょう、笛でしょうというイメージで入れました。CDでは大げさなぐらい賑やかに演出していますが、ライヴでもぜひお客さんといっしょにこのぐらい盛り上がりたいですね」

 

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掲載: 2010年06月09日 18:01

更新: 2010年06月09日 19:26

インタヴュー・文/宮本英夫