INTERVIEW with 村井研次郎 & 武井誠（3）——まとまらないのが素敵
まとまらないのが素敵
――その石井さんは以前〈cali≠gariらしい音が欲しい〉っておっしゃってたんですけど、お二人は〈cali≠gariらしい音〉をどう捉えていらっしゃいますか?
村井「やっぱり、まとまってない音ですよね。秀仁くんっていう軸があるんだけど、それに収まらないで4人がまったく違う方向を向いてるっていうのが格好良いと思いますね。例えば俺個人に関して言えば、どんな曲でどんなバンドで弾こうが、絶対ブレないようにしてるつもりなんで。その楽曲とかジャンルに合わせてスタイルを変えるっていうのはやっぱり嫌なんで、どこに出ようが自分は自分でいるっていうのを大事にしてますね。だから、全然cali≠gariを知らない人から見たら、ひとり変な人がいるわけですよ。ヘヴィメタの人が、ヘヴィメタみたいなベースの音で、ヘヴィメタみたいなベースを持って、ヘヴィメタみたいなステージングをしてるっていう。でも、その何が悪いの?っていう話ですね。僕はそれがcali≠gariの4分の1だと思うんですよね。青さんだって、そうじゃないですかね。ホントにひとり、変なほうに行っちゃってるわけだし。秀仁くんっていう軸があった上で、みんながバラバラなことやる。やっぱり、まとまんないのが素敵だなと思いますよね」
――その〈まとまらないのが素敵〉っていう感覚は、作品にも表れてますよね。
村井「そうですね。まとまらなさがより格好良くなってきてるのはあるかもしれないですね。それはサウンドだったり、あと難しいことを言うと、白石（元久）さんっていうエンジニアの方が、よりcali≠gariをわかってくれてるようになって、ハチャメチャなミックスをしてくれるっていうのもありますね」
――誠さんは、復活後に作品を重ねてきていかがでしょう?
武井「飛ばし曲がなくなったな、って（笑）。前はけっこうとっ散らかってて……まあとっ散らかってるのは悪いことじゃないんだけど、ちゃんととっ散らかるようになったっていうか……」
村井「いまは秀仁くんがちゃんと軸でいるからね」
武井「そういうことなのかもしれないね」
たまには作り方を変えても
――そう言えば青さんは、『11』が出来たばっかりですけど〈『12』のことも考えなきゃな〉っておっしゃってましたよ。
村井「ああ、そういう話を人づたいに聞くようになってしまった。なんでしょうね? この変な、よそよそしい感じ（笑）」
武井「それがいいんじゃない?」
村井「まあ、たまにはアルバムの作り方、変えてもいいかなーと思いますけど。急にスタジオ入ったりとか。それで急にギスギスしたら、それはそれでおもしろいCDが出来るんじゃないですかね（笑）。急に打ち込み一切なしで、生だけでプリプロもガッツリ入って、合宿なんか行っちゃったりして（笑）。絶対ないんですけど、そうしたらどういうものが出来るのかって思いますよね（笑）」
――誠さんはいかがですか? 〈地下室〉もありますが。
武井「対バンもあるから、時間もワンマンよりは短いですよね。じゃあ『11』は11曲あって、東京、名古屋、大阪と分けてやるかもしれないから、いっぱい来ればいいじゃないか、みたいな。3回全部来ればいいじゃないか～（笑）」
考え事だらけ
――（笑）あと誠さんはあれですね、初回盤と通常盤を買うとついてくる特典のフル・アルバムで『11』の曲を全部歌われるんですよね?
武井「ああ～、明日（12月17日）歌うらしいんですよね」
村井「そういう情報も人づたいにくるんですよね（笑）。1曲だけ歌ったのは聞いたんですよ。“娑婆乱打”を歌ったって」
武井「あれを全部やるの」
村井「全曲歌うの!? デモで?」
武井「デモで（笑）。デモのないやつは本チャンのトラックで」
村井「もらった人、嬉しいんですかね?」
――私は聴いてみたいですけどね。
村井「この歌いようがない曲とかどうするの? “すべてが狂ってる”とか。しかも歌詞見ないでやるんだよね?」
武井「空耳でやりたいから歌詞覚えないようにしてる」
――“その斜陽、あるいはエロチカ”あたりは、ずいぶん官能的な曲ですけれども。
武井「ああ～、知らないですからね。その曲」
――そうか、打ち込みですもんね。相当エロいですよ。
武井「ほぉ～～～」
――ほぉ～～～って（笑）。あとは初回盤の特典映像もありますね。誠さんだけ未公開映像っていう。〈密室大陸〉と〈愛と青春のme覚革命〉と。
武井「そのへんもよく……俺、別にやりたくてやってるわけじゃないから（笑）」
――今回は誠さんの初監督作品が公開されることになってますが、あれは何をやってるかわかってて撮られてるんですか?
武井「いや、わかってないです」
村井「あれ、誰企画なんだろうね? この発案に秀仁くんは関わってないよね?」
武井「そういうのは興味もないんじゃない?」
村井「そうだよね。秀仁くんはこっち（CD盤）だけだから。でもこっち（DVD盤）に青さんは関わってるんじゃない? こういうのつけるかつけないかには。ホント俺、予想の範囲でしか喋れないですけど、DVDのほうには秀仁くん……どうなんだろうな? もう考え事だらけです。アルバムのタイトルも『11』で……これ、リリースが2011年だったらよかったですよね。11と11で」
――お伝えするのが心苦しいですが……発売が延びちゃいましたからね。
村井「そうか、延びちゃったのか。ホントは2011年の11月11日にしたかったのか」
武井「じゃあ来年はあれなんじゃないですか? 2012年の12月12日あたりに」
村井「語呂が好きだからね。まあ青さんが作るっていうんなら、『12』を作るんでしょうね。わからないですけどね」
