インタビュー

INTERVIEW with 村井研次郎 & 武井誠(1)——トラックダウンまで誰もベースを聴いてない



トラックダウンまで誰もベースを聴いてない



――今回は、制作もレコーディングも大変だったようですね。

村井研次郎(ベース)「それはぶっちゃけ、青さんや秀仁くんが大変なのかな、って(笑)。そんなにドダンバタンと新曲がきた感じはしないですけどね」

――ではお二人としては、余裕というわけではないでしょうけれども……。

村井「余裕って言ったら怒られます(笑)」

――ここにベースラインをつけて、とかドラムを録って、というのはそれなりに時間があるなかで?

村井「それがまた、僕たち特殊な段取りを踏んでるバンドなので」

――特殊とは?

村井「プリプロみたいなのをしてないんで。曲作りもリハも、一切スタジオに入っていない」

武井誠(ドラムス)「うん(笑)」

村井「全部メールでの、データでのやり取りでの曲作りなので、難しいですよね? 顔を合わせていないので(笑)」

――曲のニュアンスや、こういう感じがいい、といった指定などは?

村井「僕はまったくないですね。たぶん、1曲もそれ言われてないような気がします。かつトラックダウンの日まで、誰も僕のベースを聴いていない可能性がありますね(笑)。レコーディングの前準備のデータに、僕は家だったりスタジオだったりで勝手にベースを入れちゃうんですね。それをエンジニアさんに直接送るんで、トラックダウンの時にみんなで集まって聴くまで、どんなベースラインが入ってるのか、みんな知らない。で、そのままミックスの日になるんですよ、もう任せられてるので。誠くんの場合は、秀仁くんがいる横でドラムを叩いてて」

武井「そうですね。スタジオの日にちはもう決まっているので、その前日なり、前々日なり、前々前日なりにメールでデモがきて、それを……まあ1回自分で、個人練習でスタジオに入って覚える。まあ覚えきれないですけどね、時間がないんで。で、当日、ああじゃないこうじゃないみたいにしながら……作曲者の意図もあるじゃないですか。で、ここは何でもいい、っていうところもあるので、そのへんを話してレコーディングするみたいな感じですかね」

――青さんの曲の場合も石井さんが立ち会っていらっしゃるんですか?

武井「そうですね」

村井「基本的に秀仁くんが、全体の舵を取っているので」

武井「活動再開してからは、わりとそういうスタンスになってる感じですかね」

村井「何か曲を作ったにしても、1回秀仁くんにmp3なりWAVなりをメールで送って、秀仁くんのフィルターがかかって判断があるんですね。前のアルバムとかもそうだけど、例えば、秀仁くんとか青さんが曲作りでちょっとつらそうだなって時期があるじゃないですか。そんな時、パソコンにある僕のストックのなかで〈これだったらcali≠gariで使えるかな〉っていうのがあったらピッて秀仁くんに送るんですよ。そうすると、秀仁くんから〈あ、これだったら噛み砕きますよ〉みたいな返事がくる。〈これはちょっと青さんに送ってください〉っていう場合も前はあって、青さんにピッと送ったりとか。必ず1回秀仁くんの判断が入りますね」



様子を見てデモを送る



――今回は研次郎さんと石井さんの共作で“コック ア ドゥードゥル”がありますけど。

村井「そういうことですね。やっぱりちょっと忙しそうだし、大変そうだし(笑)」

――気配りですね(笑)。

村井「気配りというか(笑)、なんていうの? タイミング? 実は僕、cali≠gari用に曲を作ったことっていままであまりなくて、別な目的に――別なバンドだったり、別な歌い手さんに書いてたりとかそういうものなので、これだったらひょっとして、秀仁くんのフィルターを通るとおもしろいかなーって思う打ち込みのデモを1回送ってみる。それが今回の4曲目。もともとは歌謡曲なんですけど、まあメロとか、最終的に原型留めてないぐらいだいぶ秀仁くんのアレンジが入ってますね」

――2人でやり取りして、ということではなく。

村井「もう一方的ですよ。デモを送ったら秀仁くんから〈任せてください〉っていう一言が返ってきて。で、そのやり取りを他の二人は知らない」

武井「でも俺、そのデモはたまたま聴いてて」

村井「じゃあ聴いてます(笑)」

武井「僕もデモ、送ったんですけどね……そのためにソフトまで買って送ったんだけど(笑)」

村井「そうなの? そういうことすら知らないっていう(笑)」

武井「秀仁くんにしか送ってないんです」

――それはいま、つらそうだなと思って?

武井「いや単純に、なんだろ?」

村井「それまで出来てる曲を聴いて判断することもある。秀仁くんと青さんのデモを4曲ぐらい聴いて、〈ああ、これとは違うタイプのが自分のパソコンに眠ってるな〉と思ったら送ったりとか。みんなそれぞれ毛色がバラバラなんで、隙間、隙間で様子を見てパッと送るんですよね」

――誠さんも普段から曲は作ってらっしゃるんですか?

武井「いや、普段からは作ってないです。けど大概、1曲ぐらいはデモを送ってて。まあ時期的なものもあったりとか、あとは全体像が見えてきてからで要らない色だったりとか、そういうのもあるかもしれないけど、っていう感じですかね」


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掲載: 2012年01月11日 18:01

更新: 2012年01月11日 18:01

インタヴュー・文/土田真弓

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